生涯英語 〜ラーナーズサロン運営者のブログ〜

英語学習のコツや英会話に関すること、アメリカ文化について紹介していきます。

最近のニュース③起こったことを簡単な英語で説明してみよう

するしかない have no choice but to

"状況が悪化すれば、非常事態宣言をするしかない。小池都知事は「都民の皆様にはそのことを認識していただき、迅速な対応ができるように協力していただきたい」と述べた。

“If the situation gets worse, they we’ll have no choice but to declare our version of state of emergency. I would like all the residents to be aware of that and cooperate so that we will be able to take quick actions,” Tokyo governor Koike said.

英語で、〜するしかない は Have no choice but to〜と表せます。noの後ろですから複数形にしがちですがここは単数形なのがポイントです。choiceの代わりにoptionと言ってもOK。単に「こうするしかない」と言いたいときには、"This is the only choice" と言えばよいです。

 

障害のある男性 a man with a disability

36歳の障害者の男性が、自治会の役員に障害のことを無理やり書かされて自殺した。男性の両親は同会と役員に2500万円を求める訴えを大阪地裁で起こした。

A man with a disability, who was 36 years old committed suicide after he was forced to write about his disability by members of the residents’ association. His parents sued the association and its members for 25 million yen in the Osaka District Court.

英語で、障害のある男性 は a man with a disability と表せます。また、障害者について話すとき、handicapやchallengedといった単語を使うこともできます。身体障害者であれば、a physically challenged person, 知的障害者であれば a mentally challenged person といった具合です。

 

中傷 abuse

岩手県におけるCOVID-19の最初の患者が中傷の対象になっている。県はそれに対して厳しい処分を下すとしている。男性の検査結果を発表した会社には何度も電話があり、苦情を言いに事務所を訪れる人もいたという。

The first patient of COVID-19 in Iwate has been a target of abuse. The prefecture is going to take strict action to it. The company that announced the man’s test result received a number of calls, and some people even visited the office to complain about it.

英語で、中傷 は abuse と表せます。abuseという単語を初めて学ぶときは、「虐待」という訳で覚える人も多いと思いますが、嫌がらせという共通の意味で、中傷という訳もあてられます。Call A names というフレーズを使って「Aの悪口を言う」というふうに言い換えることもできます。Call me names で、私の悪口を言う です。Call my names ではありません。ちなみにいじめは bullying  と言い、いじめっ子はbullyと言います。

 

命令を出す issue an order

ドナルド・トランプ大統領は、中国の動画共有アプリ「TikTok」を禁止するという。1日に禁止するための命令を出すという。

President Donald Trump says he will ban TikTok, which is a Chinese video-sharing app. He is going to issue an order to ban it on the 1st.

英語で、命令を出す は issue an order と表せます。issueもorderも、異なる複数の意味をもち、しかもそれぞれが頻繁に使われる重要単語ですよね。それぞれの単語について2つ以上の意味を言えないという場合はこの機会に辞書で引いてみましょう。例えば health issue は健康問題、the date of issueは発行年月日、place an orderは注文をする、plane A in orderはAを順番に並べる ですね。

 

象の牙 tusk

ボツワナは、同国のゾウの大量死は、自然界に由来する毒が関係している可能性があると述べた。死体にはまだ牙が残っていたため、密猟によるものではないと主張した。

Botswana said the massive mortality of elephants in the country might have something to do with poison that originated in nature. They insisted that it was not from poaching because the dead bodies still had tusks.

英語で 象の牙 は tusk といいます。猪などにも使います。大きな牙ですね。一方で犬や狼などの小さな牙はfangと言います。このあたりをしっかり言い分けられるかどうかで

英語力がわかります。ちなみに人間の八重歯は a double toothと言います。親知らずはa wisdom toothです。

 

〜で作られている be made of ~

鞄メーカーの土屋カバンがスイカ専用の革製鞄を作った。内側には豚のスエードを使用しており、柔らかく、果物を取り出しやすいように工夫されています。六本木店と渋谷店で展示されます。

A bag manufacturer Tsuchiya Kaban made a leather bag specifically for a watermelon. The interior is made of pig suede, which is soft and makes it easy to take the fruit out. This product will be displayed at the Roppongi and Shibuya stores.

英語で 〜で作られている は be made of ~で表せます。似た表現で be made from~ がありますが、一応、be made from~ は、cheese is made from milk など、物が質的に変化する場合に使われるというルールみたいなものがあります。Cheeseとmilkはもはや全く別のものですよね。一方、leather bagは、pig suedeを縫い合わせて作ったものなので、質的には変化していませんよね。fromだから別のもの、ofだから同じものと覚えましょう。大学入試などであればこの辺はおさえるべきかもしれませんが、be made of の方がよく見ますし、どっちかわからなくなったらとりあえず be made of と言えば通じます。

【外国人恐怖】日本でよくある「外国人を避ける」「外国人だから職務質問」これは差別か?

黒人差別は日本にもあるのだろうか。以下の記事では黒人男性とその妻(日本人)の経験として、二度見されること、(物理的に)避けられること、黒人は注意した方がいいと忠告を受けたことが挙げられている。しかし私の考えでは、それらの行為は「黒人差別」というラベル付けをされるのには十分でない。

日本人は白人や黒人を避けがち

なぜなら外国人へのそういった扱いは黒人に限ったことではないからだ。私のパートナーは白人だが、ショッピングモールへ行けば多少の注目は集めるし、電車に乗れば誰も隣に座ろうとしない。2人でレストランへ行くと注文をとるウェイターは私の方しか見ない。先程の行為が差別ならこれらも差別だろう。

しかしBLMの文脈でこのような「日本人が外国人を避けたがる」ことについて話をするのはあまりにも酷に思える。というのも日本人の場合は、外国人嫌悪というより、外国人恐怖がそのような行為の動機であることが多いからだ。下等なものとして下に見ているのではなく、異質なものとして恐れているのだ。

嫌うというより遅れている

日本人には、そもそも白人や黒人をまるごと「嫌う」だけの十分な理由がない。織田信長の時代から日本人は白人と仲良くしていたし、第二次大戦も、その歴史が原因で今も白人が嫌いだという人は今では少数派だ。一方、黒人に至ってはこのような日本人との接点すらほぼ無い。

だから、白人や黒人を避けることに関しては、「嫌いはしないが、個人的にはよく知らない人たちなので、一応近寄らないようにする」というのが日本人の気持ちだろう。それが結局差別なのかどうかは差別の定義にもよるのだが、いずれにしろ「黒人差別」という名前を与えるのは違うだろう。

先程紹介した記事ではいつも使っている自転車が盗んだものだと何度も疑われ職務質問を受けたという経験についての記述がある。しかしこれは白人だろうとナニジンであろうと外国人であれば起こることだ。暴力、犯罪としばしば結び付けられるアメリカの黒人の職務質問とこれが一緒だとするのはおかしい。

外国人差別」と呼ぶことも問題

百歩譲って「外国人差別」とするのもまた日本人が可哀想だ。また現在の日本でいう外国人差別は、技能実習制度に端を発するアジア系外国人の扱いのイメージが強い。それはそれで闇が深くれっきとした社会的問題であり、同じ名前を与えることで、黒人・白人の扱いとそれを同列に語るのは無理がある。

しかしながら、外国人が犯罪を疑われるという出来事はたしかに問題を孕んでいる。外国人を恐れるからこそ何かあると彼らを疑ってしまう。つまり恐怖の底には常に彼らへの疑いの気持ちがあるのだ。これが発展すると、外国人恐怖は外国人嫌悪に変わる。この事実は認めなければならない。

まとめ

まとめると、日本人が街中で黒人や白人を避けてしまう現象、これに「差別」というラベル付けをしようとするのであれば、もう少し検討が必要だ。黒人・白人に慣れていない日本人だから仕方の無いこととはいえ、たしかに、好ましい状況とは言えない。将来どうなるかは、次世代への教育次第だと思う。

また私は、英語教育がこの状況を改善できると信じている。異なる言語を学ぶことは、異なる文化を学ぶこととイコールだ。英語を学ぶことと外国人恐怖の関係性については、他の記事で書きたいと思う。

最近のニュース②〜起こったことを簡単な英語で説明しよう〜

お金を払わせる charge

ツイッター社は同社のプラットフォームにおいてサブスクリプション制のような課金システムの導入を検討している。CEOは今年中にもいくつか実験を行う予定としている。

Twitter is planning on starting to charge the users for using their platform, trying to make it like a subscription system. The CEO says they will probably do several experiments for it this year.

「お金を払わせる」は英語では一言でchargeと言い表せます。イコール課金ですね。和製英語で「テーブルチャージ」というものがありますが(ちなみに英語ではcover charge)、ここでのチャージと同じ意味になります。

英語圏でのテーブルチャージは席料というかイコール入場料みたいな感じであることが多いので、思い出せなくてもadmissionと言えば通じるでしょう。

 

通勤中に on one's way to work

ある女性は通勤中の電車内で女子高生が痴漢に遭っているのを発見し、女子高生と男との間に体を入れてそれ以上の被害を防いだ。また電車を降りた後は、男の道を遮って逃走できないようにした。

 A woman found a high-school girl being groped in a train on her way to work, so she squeezed in between them to protect her from further harm. After they got off the train, she stood in his way so that he wouldn’t run away.

「通勤中に」は英語でon my way to workと言います。同じように、通学中はon my way to schoolです。今どこにいるか?と聞かれて、I'm on my way. と言えば、「今向かっているところだ」という意味になります。

 

AもBもない neither A nor B

島根の高校の野球部員は週末、8時に電話ボックスへ向かう。彼の寮の自室にはテレビもパソコンもない。2年半の間、両親のおかげで野球に打ち込めたことに気づいた。

 A baseball player of a high school in Shimane heads to a phone booth at 8 pm on weekend. There is neither a TV nor a computer in his dorm room. Now he realizes he has been able to focus on baseball for two years and a half thanks to support from his parents.

 

 

英語で、AもBもない はneither A nor Bと表せます。ちなみに、not A or Bと言っても大体同じことです。前者は大学入試等でよく出てきますよね。

また、There is の文で、Thereの後ろがisであるべきか?areであるべきか?と迷う人もいますが、わからないときはisにしておけば問題ありません。実際、口語では、areにすべきところでもisにすることが多いです。

 

~の専門家 an expert on~

イナゴの疫病が世界中の人々を怖がらせている。イナゴの専門家は「日本には来ないだろうが、南米の状況が悪化すれば、作物などの輸入ができなくなる可能性がある」と警告している。

A plague of locusts is scaring people around the world. An expert at locusts warns that there’s a possibility that Japan will not be able to import goods such as crops if the situation gets worse in South America although they will probably not come to Japan.

 英語で~の専門家はan expert on~と表せます。onはinでもatでも構いません。また、職業としての専門家でない場合に誰かをan expertと呼ぶと、その道の玄人、というような意味になります。

 

ネットで調べる browse

議論の最中に娯楽として本を読んだり、スマホで閲覧したりしている国会議員が続出している。議会のルールでは、議員は審議中に関係のない本を読むことは禁止されている。

A lot of Diet members are reading a book for entertainment or browsing on their phone during discussion. The rules of the Diet ban its members from reading books irrelevant to the session.

スマホをいじる、スマホで何か調べている、など、とりあえずスマホで何かしていることを伝えたいときは英語ではbrowseと言うと便利です。ブラウザーという言葉はここからきています。一昔前の言葉で、ネットサーフィンと同じ意味ですね。何してるの?と聞かれて、I’m on my phoneと言うと、スマホ見てる、スマホをいじってるというような意味になりますね。

 

~によってAを使い分ける use different types of A depending on~

暑い中でのマスク着用は苦痛になります。混雑している場所ではサージカルマスク、あまり混雑していない場所や外では薄手の布製のマスクなど、場所によって使い分けることができます。

Wearing a mask can be painful in the hot weather. You can use different types of masks depending on where you are at: a surgical mask when you’re in a crowded place, and a thinner, fabric mask in a less busier place or outside.

使い分けるは英語でuse different (types of) Aで通じます。場合に応じて言葉を使い分ける、だとuse different worse depending on the situationという感じですね。上の文でtypesを省くと、同じ種類のマスクで違うマスクを使い分けるというような意味にもとれるので、違う種類であることを明らかにするためtypesを入れています。

GoTo トラベルは文法的に間違っている!とツッコんだら負け

それは愚問である

GoTo Travelって英語として間違っているんじゃないか?という記事を朝日新聞が書いたみたいなので、まあ「英語の前に政策そのものが間違っている」という大多数のコメントはとりあえず置いておくとして、日本の英語文化について少し考えてみたい。日本人の伝統的な英語の扱い方を理解すれば、その問いがいかに愚問であるかがわかるだろう。

装飾としての英語

英語は日本人にとって長い間、ただの装飾であった。GoTo Travelという言葉がまかり通るくらいなので、今現在もそうだろう。装飾というのは文字通り、ただの飾りとして添えるものという意味であり、それ自体は特に意味を持たない。つまり、その単語にいかなる意味があろうと、その英語は「添えられている」だけなので、当の日本人は特にその文法的用法について追及することはほぼない。例えば英語がプリントされたTシャツや、英字新聞のようなデザインのラッピングペーパーなど英語がデザインの要素として用いられている場面は今日でもよく見る。そして多くの日本人は、それらの英語が実際どういう意味なのかということに興味がなく、ただ一つのデザインとして認識している。

日本人が知っている英語だと格上

GoTo Travelというこの奇妙な英語の誕生の裏にはそういう、日本人が英語を装飾品として扱う文化がまずある。そして英語の中でも、多くの日本人が知っている単語はさらにカッコいい、アピール力のあるものとして扱われる節がある。まあいわゆる、「なんでも横文字にするとカッコいい」という感覚である。そしてGoToトラベルに話を戻すが、たしかにコロナ禍において堂々と旅行することは何となく気が引けるという人は多い。この時期の旅行には思い切りが必要である。その思い切るニュアンスを、横文字にすることで得られるカッコよさで、なんとか補填しようとしたんじゃないだろうか。まあとにかく、堅苦しさが出ることは避けたかったのだろう。

「トラベル」でなければならない理由

GoTo Travelという言葉はまさに、英語だからカッコいいし、しかも誰が見ても意味がわかる、最高のネーミングということになる。もちろん英語がわかる日本人は、Go on a tripだろう!とツッコミたくなる。しかし、ツッコんだら負けなのだ。日本人向けのメッセージとしては、これは100点満点なのだから。

言わずもがな、これは日本人が英語を話せないがゆえに成り立つ構図である。楽天トラベルとか弾丸トラベルとか、日本人にはトラベルという言葉の方が馴染み深い。日本人の多くがGo on a tripという言葉を知っているとするなら、GoTo Travelという言葉は逆にアピール力に欠けることになる。Go to travel...? 旅行するために行く?どゆこと?という反応になるに違いない。トリップという単語よりトラベルという単語の方がより知れ渡っているというか、有名であるからこそ、そこはトラベルでなければならないのである。これは仕方がないことなのだろう。仮にトリップの方が日本人にとってよりわかりやすい単語であったなら、これはGoTo Tripとなり、英語の正しさで見るとまだいくらかマシな表現になっていただろうが。

 

英語話者は…

というわけで私の見解では、GoTo Travelもまた比較的「装飾的」な、雰囲気が伝わればOKというテキトーな英語の一種なのだが、もはや日本に長くいる英語話者などは、すでにこういう日本人の英語の使い方を一つの文化として認識していて、わざわざダメ出しをするつもりもないという人が多いと思う。

例えばYouTubeのAbroad in JapanというチャンネルはALTとして日本で暮らした経験を活かした情報発信を行なっているが、「英語話者から見たおかしな英語」に関しては、以下の動画にまとめられていて、英語がわかる人にとっては笑える内容となっているので、ぜひご覧いただきたい。

https://youtu.be/V347dTGZVl0

一つ一つの意味を問うことがもはや愚問であることを悟り、日本人の装飾的英語へのツッコミをやめた外国人は、彼一人ではないはずだ。

それにしても、普段気にしたこともないという人が意外と多いのではないだろうか。よく考えてみれば日本には「おかしな英語」があふれている。それも、おかしいのに、「カッコよさ」を帯びているという不思議な状況である。

 

こんな英語は「害悪」か?

GoTo Travelのような間違った英語ひいては和製英語は、中高生のような今英語を学習している人々にとって悪影響、という声もあるが、そもそも若者の方が数が少ない社会に向けたメッセージとして、年齢関係なくだれでも意味がわかるように英語を改変しなければならないというのは仕方ないといえば仕方ない。

和製英語をなくしていくことは、難しい。茨の道だ。赤ん坊の頃から人は和製英語に囲まれて生きている。高級マンションやタワーマンションは、マンションだからそのような形容詞とマッチするのであって、高級アパート、タワーアパートというのはどうも違う気がする。このような感覚がすっかり身についてしまっているのだから仕方ない。ただ日本語が母語であり、一から英語を学習した私は、英語を話すときには英語脳に切り替わっており、英語脳の中には和製英語が入っていないため、和製英語に悩まされるということはほぼない。私の頭の中では、マンションとmansionは全く別の言葉というわけだ。とにかく和製英語についてはまた後日書くとして、それはそういうものであり、英語圏の英語とは違うものなんだと区別して理解すればそれほど大きな問題ではない。中高生には、英語の先生が雑談タイムで適当に触れておけば十分だろう。

もちろん、GoTo Travelという言葉には改善の余地があると思う。英語を解さない日本人にとってカッコ良くても、解す日本人にとってダサいのはおそらく間違いない。しかし、時間はかかるだろうが、英語教育の推進によって、英語がわかる日本人はこれからどんどん増えていくだろう。英語のわかる人々が知恵を集めれば、今回のようなGoTo Travelより多少は文法的にマシで、かつ日本人に伝わる言い方を思いつくこともできるだろう。というわけで、彼らに期待するしかない。

 

まとめ

それにしても、GoTo Travelという言葉の文法的ミスについての記事がそこまで伸びるとは思わなかった。リツイートやいいね、ヤフコメの数が想像より多くて、少し驚いたのだ。日本人の英語に対する意識も徐々に高まってきているということだろうか。もちろん、「どうでもいい」「着眼点、そこ?」という声もそれなりに大きいから、そう一筋縄にはいかないだろうが… 愚問とは言ったが、英語学習者にとって、英語を見るたびにその用法に着目することは大事であり基本的なことであろう。英語は元々カッコいい言語である。素のカッコよさをより多くの日本人が理解する日が来ることを願う。

 

アニメの翻訳家が、1話80ドルの報酬でも文句を言ってはいけない理由

フリーランスでやっているのなら、クライアント(もしくは現実)に文句は言えない

誰もがわかっていることだが、近年、AI(人工知能)の進化がめざましい。AIは人間の職業を奪うと言われているし、それは徐々に始まっているといって間違いないだろう。翻訳業はその一つ。そんな中、日本語のアニメを英語に翻訳したり、字幕を挿入する仕事に従事している人たちから、報酬が低いという愚痴が聞こえてくることがある。1話で大体80ドルから90ドルが相場なのだそうだ。私にとっては、そんな簡単な仕事で90ドルももらえるなら、ぜひ私が引き受けたいと言いたいぐらいだが、それで生計を立てようと思えば、彼らにとっては足りないのかもしれない。ただし、その悩みは自分がどうにかしない限り解決しないだろうというのが私の考えだ。翻訳会社に勤めているなら会社に文句を言えばいいが、フリーランスで翻訳業を行なっている場合は、クライアントの報酬がそのまま自分のものになるから、クライアントに、もしくはこのような低料金で作業を引き受けなければならないという現実に文句を言いたくもなるだろう。しかしそんなことをしていても少しも状況は変わらない。

アニメの翻訳は簡単

今の時代、アニメの翻訳はシンプルな仕事だ。まずアニメそのものが、小説と違って言葉の響きに深い注意を払う必要がなく、また話し言葉であるため、比較的簡単である。例えば、「100円パクられた!マジありえねえ!」というセリフを訳そうとするとき、I had my 100 yen stolen! I can't believe it! でOKが出るということである。正しくて意味が通っていればいいから、ニュアンスとか細かい部分は気にしなくていいという、そもそもがそういう世界なのである。

次に、今の時代、機械翻訳・AI翻訳が存分に活用できる。つまり完璧に翻訳しようと思えば、彼ら機械による翻訳に少し手を入れるだけで大体事足りる。知っている人も多いと思うが、例えばDeepLという、無料の翻訳ツールを提供しているサイトは、我々が想像する「カタコト機械翻訳」の域をはるかに超えたクオリティを実現している。以下に、お馴染み、機械翻訳の代表Google翻訳と、DeepLの翻訳のスクリーンショットを掲載するので、見てほしい。違いは明らかだ。

Google翻訳

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DeepL

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以上を要約すると、アニメの翻訳は非常に簡単な仕事であるし、このように便利な翻訳ツールが利用できるようになっているため、そもそも人を雇う必要自体なくなる可能性が出てくる。だからアニメの翻訳家たちが、今と同じ仕事内容で、もっと稼ぎが欲しいというのであれば、それはだいぶ難しいだろうと言える。そもそも、さらに稼ぎが減る確率が十分にあるのだから。

しかし、アニメ翻訳家に、現実を受け入れて死ねと言うのはあまりにも酷だし、私もそういう風に突き放すよりは、この先どうすればいいかを一緒に考えた方が、まだこの話をする意味があると思う。そこで私は彼らに提案したい。報酬を増やしてほしいというのなら、それなりの付加価値を自分で生み出してみたらどうなのか。

付加価値を生み出そう

自宅に芝刈り機があるのに、芝刈サービスを依頼する人がいるだろうか?芝刈り機を持っている人にもアピール出来るサービスを思いつけば良いのだ。例えば、定期的な芝刈りに加えて、庭の花に水をやり、犬も散歩させますよと言うなら、サービスとして悪くないかもしれない。芝刈りだけだと、いやうちには芝刈り機があるから、という反応になるが、その他にも色々やってくれるとなると、それは便利かも…と思ってもらえる可能性があるということだ。この考え方は翻訳業にも活かせると思う。データの編集に関わる一切の作業もまとめて代行するとか、かなり速いスピードで納品が可能とか(AIはかなりのスピードで翻訳してくれるから、とりあえずAIに大まかに訳してもらった後で、細かい部分を手作業で修正するというやり方なら、一から人間が訳すよりもより正確でより速く完成するよね)。結局、AIが訳しても人が訳しても結果が変わらないというなら、AIに訳させた方が絶対に楽だしより正確になるのだから、翻訳者はAI翻訳と手を組まざるを得なくなるだろう。

もちろん、翻訳に加えて他の作業も引き受けるということになると、望んでアニメ翻訳家になった人々にとっては、これは自分が本当にやりたかったこととは違うと感じることもあるかもしれない。ただそれが趣味ではなく仕事で、お金をもらってやっていることだということを忘れてはいけないだろう。需要のないところに供給をしても稼ぎは出ない。どういうサービスにすれば需要があるかを優先して考える必要がある。

 

好きな仕事をあきらめる必要はない

しかし、需要に合わせてサービス内容を再考するということは、好きな仕事を諦めるということとイコールではない。好きでアニメ翻訳家になった人は、日本語やアニメが好きでその仕事についたのだろうが、日本語やアニメの知識が活かせる仕事は現時点で他にもあるし、これから新しい仕事が生まれることも十分に考えられる。エルメスは馬具の需要低下をみて、皮革加工の技術を活用して鞄を作り始めたし、任天堂花札やトランプを製造していたが、カードゲーム市場が飽和したため、製造機器の整備を担当していた人物を開発部門に抜擢し、家庭用ゲーム機の製造に活路を見いだした。柔軟に考えれば、自分のスキルが活かせる場所は必ず見つかるのだ。

それにそもそも、ここまで言っておいてなんだが、アニメ翻訳の需要が完全に無くなるまでにはまだ少し時間がかかるだろうと思う。例えば日本語の言葉遊びだったり、日本人向けのパロディやジョークをAIが柔軟に翻訳するのはまだ難しいだろう。もちろんAIが進歩して、それらも容易にできるようになる可能性はあるが、少なくともそれまでは、そういった能力もセールスポイントになるだろう。海外でアニメファンの人口が増えるに伴い、より多くの視聴者を獲得できるような、より凝った翻訳が求められるようになることは考えられるし、人による翻訳であるということに焦点を当てたアピールはまだまだ行う余地がある。何にせよ、現状のままで文句を垂れるよりは数百倍マシだろう。

 

おわりに

今回はあまり英会話とは直接関係のない話題になってしまったが、AI翻訳に関わる話題の延長線上にはいつも、「AIが英語に訳してくれるなら、人が英語を話せるようになる必要ないのでは?」という意見が出てくるという点は見逃せない。これについてはもちろん後日記事を書くことにするが、簡単にこの場で言っておくと、AIが英語を話せようが話せまいが、英語を話せることは一つのスキルとして尊重され続けるし、英語スキルの価値が下がることはないだろうと言いたい。また、小中学校での英語教育が強化されるようになり、現在大学生や、いわゆる若者の範囲に入る人々は将来、「英語が流暢な部下」に対面することになるだろう。やがて、日本人であっても英語が話せることが当たり前になるかもしれない。そんな世界にいてもあなたは、自分が英語を話せないことに耐えられるか?という話である。日本中がそういう風になることは現実的でないとしても、会社単位で英語の使用が当たり前になることは十分に考えられるのではないかと思う。

というわけで、翻訳家や、日本人で英語を話せる人は、進歩し続けるAIを目の敵にすることもしばしばあるのかもしれないが、私はとりあえずAIとは仲良くしておいたほうがいいし、あなたが思っているより現実は悪くないよと言いたい。英語学習を続けている人は、AI翻訳が進化するからといってこれまでの努力が無駄になることは決してないので、ぜひ集中して学習を継続し、英語力を磨いていってほしいと思う。

最近のニュース①〜起こったことを簡単な英語で説明しよう〜

アベノマスク

英会話で日本独自の事柄について話すときは、無理やり1つの言葉にしようとするのではなく、ちゃんと文で説明するほうがいいこともあります。以下のツイート(アベノマスクを自治体に返却する人が相次いでいる)では簡単に、政府からもらったマスクという風に訳しています。これが必要最低限の説明でしょう。英会話でアベノマスクについて知らない人にこのことについて話すときは、

The Japanese government is giving people free masks. Each family gets two masks through mail, but many people think they are too small. So, they are giving them back to the (local) government.

と言うといいかと思います。

学校の再開

コロナの影響でアメリカの学校も軒並み休校となっていましたが、再開の動きが出てきています。英会話でこれを表現するのに、難しい単語は要りません。もちろんrestartやresumeなどを使っても通じます。長い休みの後の新学期の開始について話す場合、日本では、学校が始まる、という言い方をすると思いますが、英語ではkids are going back to schoolという風に言うことができます。学校ではなくそこに通う生徒が主語である感じですね。

以下のツイートでは、コロナが不安で、学校に通わせたくない親たちが多くいるというアメリカの記事を紹介しています。sendを使うとなんだか物を扱っているみたいですが、英語ではよくあります。学校に送り返す、つまり、生活の拠点というか、一日の大部分を過ごす場所が、これまでは家だったが、また学校になるという感じですね。難しければ、Parents don't want to let their kids go to school.でも十分通じます。

他の学生と話せないことからの孤独

授業がオンラインに移行した大学生が、他の学生との交流ができず孤独を感じている、ということを英語で表現するには、

College students who are taking classes online are feeling lonely because they cannot talk to their classmates in person.

で通じますね。以下のツイートでは、名詞lonelinessを使って、「〜から来る孤独さ」という風に表現しています。これはどちらかというと書き言葉的な表現ですし、上の例文の方が言いやすいという方も多いと思います。でも、ここでのfromの用法は知っておくと得かもしれません。これは、原因を説明するときに使うfromです。

例えば、歩きすぎて疲れた。という時、もちろん上のようにbecauseを使って、I'm exhausted because I walked too muchでもいいわけですが、

I'm exhausted from walking too much.

と言うこともできるわけです。痛みや疲れ、その他ネガティブなことの原因についてfromを使うことはよくありますので、覚えておくといいかもしれません。

テーマパーク建設に対する反対

横浜市に大型テーマパークができるかもしれないという記事ですね。英会話で賛成する、反対するというとパッと思い浮かぶのはagree, disagreeだという方も多いと思いますが、シンプルに、I like that idea. I don't like that idea. と言うこともできます。英語でlikeはかなり便利な言葉で、日本語で「好き」と言わないような場面でもよく使いますね。例えば何かを食べて美味しい!と言う時、もちろんIt's good! It's delicious! でも良いですが、I like it! とも言うことができます。色々な表現を覚えておけば、英語を話すこともより楽しくなりますね。

模造拳銃

英会話で模造拳銃とは何と言えばいいでしょうか?例えば銃社会アメリカでは、銃は国民であれば誰でも持つことができて、模造の銃そのものの存在意義があまりありません。本物じゃない銃ということであれば、a toy gunと言われることが多いでしょう。レプリカ(replica)と言うと、日本では模造という意味しかないですが、アメリカの銃のreplicaは、有名な銃をコピーというか、模造して作った「本物の銃」を意味することも多いので、この以下の記事で言うような模造拳銃の訳に常に完璧に当てはまるとは言えないと思います。以下のツイートでは、よりシンプルにfake gunsと表現しています。

模造との関連で言うと、日本には食品サンプルの文化がありますが、食品サンプルを英語で言うとき、sampleと言うと本当に食べられる、試供品だと思われることもあると思います。fake foodと言えばいいですね。例えば、外国人がレストランの入り口で食品サンプルを見て、これは何だい?と言ったときには、

It's fake food. It's plastic.

と言えば簡単です。へえ、これは作り物なのか、すごいな!と感心することでしょう。

示談で解決

英語で示談を何という?と聞かれても、うーん…となる人は多いですね。もちろん辞書で調べれば、out of courtという言葉が出てきて、ああこれを使えばいいのかと分かります。裁判所の外で解決をするということですね。しかし、この言い方を忘れてしまったときは、英会話でどう表現すればいいでしょうか?

示談とはつまり、多くの場合、訴えを取り下げてもらう代わりに、お金を払って問題を解決することですよね。訴えることは英語でsueと言うので、英語で、ある男性が女性を訴えたが、示談で解決した。と英語で言いたいときには、

A man sued a woman but she paid money to him, so there was no trials. 

と言えば良いですね。

英語でパッと単語が出てこないときには、とりあえず説明を試みましょう。すると、相手が英語ネイティブであれば、ああ、つまりそれはout of courtだね。という風に、教えてくれることもあると思います。

 

コロナ禍におけるオンライン語学留学の罠

コロナ禍における留学

コロナ禍で留学がオンラインになる動きとかも出てきてるけど、そもそも英語を学ぶことが目的である、語学留学というか語学研修的なものであれば、大金を払ってまでやる必要はないんじゃないかと思ってます。

語学留学と交換留学の違い①「費用に見合った実績か?」

留学はたとえ交換留学でもビザの申請とか向こうの家賃とか向こうでの保険とか、何かと色々お金がかかります。

交換留学では授業料を派遣元大学に払うので、新たに授業料を払う必要がないことがほとんどだと思いますが、

語学留学では語学学校に行くわけなので、授業料やプログラム参加費などを払わなければならないと思います。

つまり、現在日本の大学に通う人からすると、交換留学の方が、留学先で単位が取得でき、また海外で専門的な勉強をしたという実績もできることから、だいぶお得感があります。

逆に大学生にとって語学留学は、英語を勉強しにいくわけなので、「英語の授業」の単位は取得できても、経歴に記載できるほどの実績は手に入りません。

まとめると、交換留学の方がコスパが良いということになりますね。

語学留学と交換留学の違い②「プラスアルファの実績」

留学することの目的には、「異文化を肌で感じること」もあると思います。実際、高い費用を払って語学留学を行う人のほとんどは、これが主な目的ではないのかと思います。

しかし、語学留学を行うレベルの英語力で、果たして満足にその「異文化交流」ができるのか?というと、疑問です。

交換留学では語学学校ではなく現地の学生と同じ授業を受けることになりますので、現地の授業を理解できるだけのある程度高い英語スコアが要求されます。

つまり交換留学ができるほどの英語力があれば、現地で友達を作ることも十分に現実的なことです。

一方で、語学学校に行くレベルというのはつまり日常会話を学んでる段階なのでなかなかそこまでたどり着くことができません。もちろん、語学学校の中で友達を作ることはできると思いますが、現地のネイティブ、一般人と対等に交流することができるかと言うと、かなり難しいものがあります。

語学留学と交換留学では、たとえ滞在期間が同じくらいだとしても、観光客として訪れるのと、現地に引っ越すのと同じくらい、得られる経験に差があります。現地の学生も、日常会話がスムーズにできる人としか話したくないという人が多いので、語学留学で現地、ネイティブスピーカーの友達を作り、それにある程度仲良くなって、深い文化交流を行うという段階に行き着くのは、ルームメイトでもない限り困難です。

繰り返しますが、語学留学と交換留学は長くても1年程度と、期間で比べると同じくらいですが、費用は前者の方がより多くかかります。しかし、得られる経験で比べると後者の方がより多く、より奥深いものになるでしょう。

つまり、そもそも現地で友達できるレベルに達しなければ留学のために支払った大金を存分に活かすことは出来ないということです。

まとめ

「語学留学は経歴にはなんの足しにもならない。得られる経験値の割に金ばかりかかる」というのが私の考えです。英語は独学で学び、ある程度のレベルに達したらトビタテや交換留学を利用して海外に出て、現地の学生たちと肩を並べて勉強する、こうするのが最もコスパが良く、いわば最適解だと思います。

大学1年、2年次で語学留学を考えているという人は、かなりもったいないと思います。1年でも2年でもかけてまず英語力を身に着けて、交換留学に挑戦すべきです。

ただ今の状況(コロナ禍)では語学留学にせよ交換留学にせよ現地に飛ぶこともままならず、オンラインで留学せざるを得ないみたいな状況になりそうですが、対面授業と比べてオンライン授業に払う学費がほぼ変わらないのであれば、今年しかチャンスがなくてどうしてもやりたい!という場合を除いて、オンライン授業しない方がいいかもしれないですね。

交換留学ならまだ多少はやる価値があるかもしれませんが、コロナ禍でオンライン語学留学を行うメリットはほぼ無いでしょう。